特集:ホオジロザメについて

ホオジロザメ(ホホジロザメ)とはどんな生き物?


当店でも人気 No.1 のホオジロザメ(正式にはホホジロザメ)についての特集記事です。


ホホジロザメ(頬白鮫、Carcharodon carcharias)は、ネズミザメ目ネズミザメ科ホホジロザメ属に分類されるサメ。本種のみでホホジロザメ属を形成する。別名ホホジロザメ(ホオジロザメ)。- Wikipedia より

“ホオジロザメ”と呼ばれる方が多い様に思われますが、和名からすれば正しくは“ホホジロザメ”になります。





学名:Carcharodon carcharias
和名:ホホジロザメ
英名:Great white shark



正確な名まえの由来は明確ではありませんが、体の腹側の半分が白いので、海面から顔を出せば、ほっぺたが白い。。という印象になるかもしれません。
英語でもやはり、白い体色に基づいて "Great White Shark" (巨大な白いサメ)と呼ばれるのが一般的で、他にも "White Shark"(白ザメ)や、"White Pointer"(ホホジロ)と呼ばれたりします。
さらに・・・"Man-Eater Shark"(人喰いザメ)や、"White Death"(白い死神)、などのいかにも“ヒト食い”を連想させる呼び方もあります。


ホホジロザメ(ホオジロザメ)は、全世界の熱帯から温帯にかけての海に広く分布していますが、基本的には、日本近海、オーストラリア南側、地中海、南アフリカ、アメリカ沿岸、南アメリカ沿岸まで、大陸沿岸を活動範囲にしています。生物の少ない遠洋ではなく、餌になるアシカやアザラシが多い沿岸近くを活動エリアにしているようです。
当然ながら、人間と出くわす機会も増えてしまいます。
とは言え、映画ではしばしば海水浴客でにぎわうビーチに不気味な三角形の背びれが迫ってくるのですが、実際にはホホジロザメ(ホオジロザメ)はもっと冷たい水温を好みます(12~24度C)ので、あまりビーチには現れません。


ホホジロザメ(ホオジロザメ)に『ヒト食いザメ』のイメージを定着させることになった、スティーブン・スピルバーグ監督の代表作の一つ、映画『JAWS』のモデルになっている「人喰いザメ」も、「体長8m/体重3000kg」のホホジロザメ(ホオジロザメ)という設定になっています。
平均的なホホジロザメ(ホオジロザメ)の体長は、4.0~4.8メートル(トヨタの新型クラウンが、約 4.9メートル)、体重680~1100キログラム(トヨタのカローラが約 1000キログラム)と言われていますが、魚類は生きている限り大きくなり続けますので、それよりもはるかに大きな個体が存在していても不思議ではありませんし、台湾沖やオーストラリア沖などで、推定で体長7メートル以上、体重2500キログラム以上の個体が捕獲されたことがあるといいます。
『JAWS』級の巨体もあながちフィクションとは言えないかもしれません。

ちなみに川崎にある「川崎マリエン」には、平成17年に死んで川崎港に漂着したホホジロザメが剥製として展示されています。“かわジロー”というお茶目な名前が付いていますが、体調 4.85m のオスで、胃の中からはイルカの尾が出てきたそうです。
本物のホホジロザメのサイズを体感するにはお勧め。

この1トンを超える巨体が最高速度35km/hのスピードで襲ってきます。
ホホジロザメに襲われた時の衝撃は、(制限時速内とはいえ)普通車にノーブレーキではねられたぐらいの衝撃という事になるでしょう。




 1997年に台湾で捕獲されたホホジロザメは、重さ 2500kg、体長 6.7~7.0m であったと記録されています。

平均的なサイズのホホジロザメと、大型乗用車トヨタクラウンレベルとのサイズ比較
ホホジロザメのサイズ



「サメが出た!」と聞けば、あの特徴的な三角形の背びれと、ホホジロザメ(ホオジロザメ)の大きな口をあけた際の鋭く巨大な三角形の歯を連想してしまいます。今やホホジロザメ(ホオジロザメ)には完全に“人食いザメ”というイメージが定着していますね。

サメの中には、シュモクザメ(Hammer Head Shark)のように、決まったシーズンに何百匹も集まって集団お見合いをしているといわれるものもいますが、ホホジロザメ(ホオジロザメ)は、集団で見かけることはなく「一匹オオカミ」として知られています。

とは言え、当然オスとメスが出あわなければ子孫ができない訳ですが、これまではランダムに浅い海で餌を探している最中に出会うのでは?程度に考えられていました。 そんな中2009年に興味深い『ホンマでっか?』な研究結果が報じられました。


「ホオジロザメ」には、お見合いのための「カフェ」があるというのです。

ホホジロザメ(ホオジロザメ)が広範囲に回遊する事は知られていましたが、以外に狭い範囲をコースを決めて季節ごとに回遊していることがわかりました。
2001年から2009年にかけて、サメ専門の科学者たちが179匹のホオジロザメにセンサーを付け、人口衛星を使ってその生態を観察したところ、実はホオジロザメは、ハワイとカリフォルニアの間を回遊していることが明らかになりました。
例えばこの調査対象となった東太平洋のホホジロザメ(ホオジロザメ)は、8月から12月にかけて、米カリフォルニア州中部または北部沿岸沖で、アザラシやアシカなどを餌に暮らします。1月になると、約4000キロ西にあるハワイ周辺の深海を目指して移動し始め、4月から7月には多くのホオジロザメがハワイ付近に集まる。というスケジュールなのだそうです。
ただ、オスを中心とする一部のホオジロザメは、移動の途中でメキシコとハワイ(Hawaii)の間の深海にある “ White Shark Cafe' ”「ホオジロザメ・カフェ」で一服し、メスと交流を図る(ナンパ?)と言うのです。“ナンパ”と言っても、最低でも100日程度は居座るそうですので、かなり気合が入っています。
これは、英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」の発表という事ですので、この「ホホジロザメにもナンパスポットがある」というのは十分に信用できる情報かと・・・


ホホジロザメ(ホオジロザメ)の見分け方と特徴

"Great White Shark" (巨大白ザメ)と呼ばれていますが、白いのは腹の部分だけで,背中は多くの他のサメと同様にや黒ずんだ灰色をしています。
ホホジロザメ(ホオジロザメ)も多くの魚類と同じく、海の中で外敵から見えにくいように背面の暗い影は海と調和し、下からは日光にるシルエットを目立たせなくしています。
二色の境目はまだらになっており、とくにえらのあたりの模様は個体によってかなりはっきりと模様が異なります。ザトウクジラの尾びれの模様と同様に、科学者たちにとっては個々のサメを識別するのに役立っています。

体型は魚雷のような紡錘形の胴体をしています。大きな上下ほぼ対象の尾びれが他のサメとは異なります。時速100km で泳ぐアオザメもやはり上下対称の尾びれを持っています。弾丸のように泳ぐマグロなどとも共通で、高速で泳ぐための理想的なスタイルなのでしょう。ホホジロザメもまた、時速40km で泳ぐことができます。
この2色の胴体と上下対称な尾びれが外見的な大きな特徴として、他のサメと区別できるでしょう。



まさに弾丸!という体系に巨大な尾びれが特徴的なホホジロザメですが、この尾びれにパワーをおくっているのが、尾びれの付け根の強力な筋肉です。
横から見るとずいぶんスリムに見えますが、尾びれの付け根は水の抵抗を少なくするために平たくなっており、上から見るとムキムキの筋肉であることが良くわかります。


ホホジロザメの鼻の頭は固く円錐型になっていることもあり、正面から見ると(そんな機会はあまり無いでしょうが・・・)体のわりに口は小さく、さめの下顎の歯が少し覗くだけで、まるで微笑んでいるかの様な顔つきです。

サメの歯はちょうど猫のカギ爪のように普段は格納しておいて、いざという時には大きくせり出し、アゴも大きく160度も開いて獲物に食らいつきます。 
「頬笑みながら近づいて、隠していた必殺の武器で一撃!」・・・・まさに海の必殺仕事人です。


「フライングジョーズ」と呼ばれる、海底から急浮上して獲物を襲い、海面に高く跳びあがるホホジロザメの捕食シーンが有名になりました。
この巨体の高い運動能力を支える秘密はもうひとつあります。

アオザメ,ネズミザメ,ホホジロザメ(ホオジロザメ)などが属するネズミザメ科は,サメ類の中でも極めて特異な、奇網(rete mirabile)と呼ばれる循環系のシステムを持っています。
これは、サメの体側面に沿って静脈と動脈が細かく密になった網目状の構造になっており、筋肉が運動する事で暖められた静脈血で動脈血を温めて熱を節約します。この機能により冷たい海水にさらされた状態であっても血液の温度が水温より3度ないし5度ほども高く保たれ、胃などの内臓の温度を一定に保って保護します。このすぐれた機能により、冷たい水の中でも代謝率を高めて長時間にわたって大きな力を発生させることが可能になり、持久力や運動能力が大きく向上します。



さらに、特徴的なのは「圧倒的にでかい!三角形の歯」です。
体の大きなサメや、ヒト食いザメと呼ばれるサメは他にもいますが、大きく口を開けた時に並んで見える巨大な歯は他には例がありません。
他のサメは大きくても、2.5cm 程度であるのに比べて 7cm 程度にまでなりますので、その差は歴然です。



ホホジロザメの歯の縁にはのこぎりのようなギザギザがついており、かみそりの刃のように鋭く、獲物の肉を引き裂くことができるようになっています。

実際、ホホジロザメの歯があれば、ペーパーカッターの代わりに紙の2,3枚は簡単にカット出来てしまいます。


上あごには、16~20個のノコギリ上の歯が付いた三角形の巨大な歯が並びます。 下あごの歯は小さめでとがった形状でほぼ同じ数が並んでいます。
ご存じのとおり、これは一列目の話で・・・常に2列目、3列目にすぐに入れ替えの聞く予備の歯が並んでいます。

ホホジロザメは一度かみつくと、下のとがった歯で獲物を固定し、頭を振って上のノコギリの様な歯で切り裂いて引きちぎります。
これらの歯は圧力を感知する細胞につながっていますんので、ホホジロザメの歯は噛みついた物が食べれるものかどうかを判断するための、いわば触角のような役割も持っているといえます。

サメの歯はゾウの牙やサイの角とは異なり、自然に何度でも抜け変わるものです。 ホホジロザメは食餌の際にしばしば歯が抜けてしまったり、餌と一緒にのみこんでしまったりしています。
サメの歯や比較的抜けやすくなっており、何列にもなった予備の歯がコンベア式にすぐに前にせり出して穴を埋めます。
こうして、サメは最大の武器を常に切れ味鋭い最良の状態にメンテナンスしています。?




以前にテレビの「世界一受けたい授業」という番組の中で、動物の「噛む力」ランキングをやっていましたが、ホホジロザメはライオンに次ぐ堂々の4位で、そのパワーは303kgでした。
オーストラリアのニューサウスウェールズ大学の研究では、サメの頭蓋骨からコンピュータモデルを作成して計算した結果、体長6.1mのホホジロザメの場合その咬合力(噛む力)は 1800kg あまりと測定されていました。

その上、サメは多くの生き物と異なり、上のアゴと下のアゴの両方を動かしてかみつくことができる極めて珍しい(しかも強力)なアゴの仕組みを持っています。

この歯と顎の力でかみつかれたら・・・と想像すると、何とも恐ろしい気持ちになるのも当然です。




ホホジロザメは人を襲う?

「サメは人を襲う危険な生物か?」・・・ この話題は、しばしば論じられており、サメが人を襲ったという数は「ゾウが人を襲うより数より少ない」とか「雷に打たれるより確率が低い」などと表現されるとおり、実際には「好んで人を襲う事は無い」というのが定説です。
ホオジロザメも他のサメの多くと同様に、小魚やえさとなる動物の発する小さな電磁場を感知できる器官を持っているため、真っ暗な海底でも餌を探すことができます。
彼らの主な獲物項目はアシカ、アザラシ、小型ハクジラ、さらにウミガメ、及び腐肉などです。

最も良く知られているのが「サメは一滴の血のにおいに集まる」という嗅覚です。
ホオジロザメは、100リットルの水の中に落とした血液の一滴をかぎわけることができ、5km 先からでも水の中の血液をたどって集まってきます。

こうしたハンターとしての能力の高さゆえに恐怖心が先に立つかもしれませんが、実は臆病で慎重な性格のため、好んで人に近付いてくることは極めてまれです。


全世界で毎年100件くらい報告される「人間がサメに襲われた」という事件が報道されます。
一般に、人を襲う可能性のある危険なサメとして知られているのは、グレート・ホワイトシャーク(ホホジロザメ:Carcharodon carcharias)、タイガーシャーク(イタチザメ:Galeocerdo cuvieri)、ブル・シャーク(オオメジロザメ :Carcharhinus leucas)、オーシャニック ホワイトチップ・シャーク(ヨゴレ:Carcharhinus longimanus)の4種類で、最も多くの人命を奪ってきたのは、ブル・シャーク(オオメジロザメ :Carcharhinus leucas)と言われています。

サメによる攻撃の3分の1から4分の1が、ホオジロザメによる攻撃であるといわれてはいますが、そのほとんどは致命的なものではありません。興味深いことに、ホホジロザメ(ホオジロザメ)に襲われた人の多くは死を免れ、後に襲われた時の恐怖を語っています。
このモンスターに襲われながら、これほど多くに人が助かるのには理由があります。
人間を餌として「食べてやろう!」というのではなく、「よくわからないものだから噛んでみる」というケースがほとんどで、少なくとも人間は彼らのお食事メニューには入っていないらしく。。。


「食えるかどうか、噛んでみる!」

例の巨大な歯は、感覚器官の一つです。
つまり、赤ちゃんのように、どんなものかを確かめるために口に入れてみる・・・という好奇心からまずは「噛んでみる」のです。。。厄介な習性ではありますね。。。

「ヒット・アンド・アウェイ戦法!」
他のサメとは異なり、ホホジロザメ(ホオジロザメ)には目を保護する、まぶたのような薄膜がありません。
サメが捕食する動画などを見ると、かみついた瞬間に目玉がひっくりかえって白眼になっているのを見たことがあるかもしれません。
アザラシなどの鋭い爪や牙を持った獲物に反撃されると、目を守ることができないため、ホホジロザメ(ホオジロザメ)は素早く襲いかかって一撃で致命傷を与えると、すぐに獲物を吐き出し、弱ったり死んだりするのを待ってから食べ始めるというわけです。



こうしたホホジロザメ(ホオジロザメ)の慎重な習性により、襲われた人には助かる見込みがあります。
ある男性はアワビ漁の最中に、ホホジロザメ(ホオジロザメ)に、頭から胸のあたりまでをバックリとかみつかれたそうです。
この際、男性は突然目の前が真っ黒になり、一瞬何が起こったのか初めは判らなかったそうです。ただ、幸い腕は外に出ていましたので、自由になっている手でもがいていたところ、目玉らしきものに手があたり、グイ!とばかりに握ったところサメは男性から離れたため、そのすきに浮上して助かったそうです。

サメが「血のにおいをかぐと凶暴になる!」という話も聞きます。実際にヨゴレ( Oceanic White Tip Shark)やヨシキリザメ(Blue Shark)などは、狂乱索餌(きょうらんさくじ)と呼ばれる、狂乱状態になりながら餌に食らいつく様子が見られます。 これは、海中に多量の血が流れ、獲物が苦しんでもがいていたり、それに突進する仲間のサメなどが立てる音などにより、非常に敏感なサメの感覚器官からの情報が処理能力を超えてしまい、完全にイカレタ状態になってしまう現象です。こうなると、上も下も、仲間だろうが何だろうが見境なく、何にでも手当たり次第にかみつきます。

しかしながら、ホホジロザメの場合には、あまりこの現象は見られないようで・・・なんとかじっくりと様子を見られているすきに逃げだすチャンスがあるようです。

また、ある研究家は『ホホジロザメ(ホオジロザメ)は人間の肉が嫌いだ!』と主張しています。
ホホジロザメ(ホオジロザメ)は、大きくなるにつれて脂肪の多い高カロリーの餌を好むようになります。主にターゲットになっているのが海洋哺乳類であるのはこうした理由もあります。
あるサメの専門家が、アザラシ、豚、羊の死体をボートからつりざおにつけて引っ張ったところ、ホホジロザメ(ホオジロザメ)は3つのすべての餌を攻撃したが、羊の死体は食べなかったそうです。

現在では、人が襲われたという事例は、ホホジロザメ(ホオジロザメ)による、食べれるかどうかの「試しのひと噛み」か、サーバーを海の底から見上げたシルエットがアザラシに似ているという「人違い」であるというのが定説となっています。
事実、こうした事件のほとんどは視認性が低かったり、サメの感覚を狂わせる環境下で発生しているという事です。

実際に「ホホジロザメに食べられた」という話はほとんど聞いたことが無く、一回目の“ひとかみ”攻撃により「重要な器官が損傷した」「出血多量で助からなかった」といおう話がほとんどです。

(まあ、自然界には人間のように「動けなくなった仲間を助けて、水の外に避難させる」様な生き物はいないのですが・・・)

結局人間は脂肪を蓄えたアザラシなどと異なり、「ちょっと噛んでみたけど、骨ばっかりで消化に悪そうだから・・・いらね!」と言うのがホホジロザメ(ホオジロザメ)側の言い分でしょうか。


有名なオーシャン・ラムジーさんが5mオーバーのホホジロザメの背びれにつかまって泳いでいる動画です。
あなたもやってみたい?


でも。。。。万が一ホホジロザメに襲われたら?

よく「鼻の頭を殴れ!」といいますが、たぶんある意味では効果があるのではないでしょうか?
そもそも、殴れるほど近くにこられたときには、殴るしかないのですが・・・・というか、たぶん誰でも殴ります。

サメの鼻には、ロレンチニ器官(ampulla of Lorenzini)と呼ばれるセンサーがあります。
このセンサーは数キロメートルも先の海水中の変則的な波動や生態電流の微かな違いを感知することができます。
サメの鼻には数種類の感覚受容器が並び、海水温度・海水成分・塩分濃度・川の位置と大きさ・汚染地帯・海底火山の場所・海底地形等も識別し、100万分の1の血液濃度や摂氏1000分の1の海水温の違い、聴覚は数十キロ、嗅覚は数百キロ、視覚は十数メートル先まで解るといいます。

サメは鼻の下から口にかけてがこのセンサーが集まった敏感なエリアで、強く突くと逃げる場合が多いといいます。
全身の神経が集中するそんな敏感な鼻を殴られれば、失神しそうなものですが・・・人間には水中でサメを一発KOするほどの力を出すことはできませんので、うまくいけば嫌がって逃げるかも知れませんが、逆に興奮させて襲われないとも限りません。

棒で突くか、押しのける程度にしたほうがむしろ効果的なのかも???

鼻をなでられてサメがしびれたように寝てしまう有名な動画



ちなみにホホジロザメの場合は、鼻先と左右の鼻の穴の中間内側あたりに多数のロレンチニ瓶と言われる1mm前後の小さな孔の集合箇所があり、その辺にを撫でるとしばらくの間しびれたように動かなくなったり、海面を仰向けに泳ぎいで痙攣することもあるそうです。

ロレンチニ器官とは・・・生物が発する微かな生態電流や地球の磁気などを感知し、位置や方角を捉える機能がある。また、地球上の磁場や電界によって、海流・海中生物・金属等も認知する。この特殊な器官によって、暗く見えない夜の海の中でも、遠方から獲物を察知し、正確に捕らえる事ができる。サメの鼻には数種類の感覚受容器が並び、海水温度・海水成分・塩分濃度・川の位置と大きさ・汚染地帯・海底火山の場所・海底地形等も識別している。100万分の1の血液濃度や摂氏1000分の1の海水温の違い、聴覚は数十キロ、嗅覚は数百キロ、視覚は十数メートル先まで解るといいます。

サメは神様?

海の恵みにより生活している多くの海洋民族にとって、漁に出掛けた際に出会うかもしれないサメは恐怖の対象である共に、神聖な存在として見られていました。

狩猟や漁で生活している人たちは、生活の糧としてあるいは自らの身を守るために、クマやオオカミ、サメやクジラを狩って殺します。
もちろん彼らのホームテリトリである森林の中や海で戦う事になりますので、逆にそれらの動物にいつ襲われ、殺されるかわからない恐怖心を抱いています。近代的な武器の無い時代にはとりわけ人間と動物とが対等な関係にあり、彼らが出あう時には食うか食われるかの極限の関係が築かれることになります。

そうした中で、オオカミやサメなどを「山の神」「海の神」として尊敬したり崇拝したり、その強さの象徴である牙や爪をお守りにするような習慣も生まれてきたのでしょう。

オーストラリアやニュージーランド、ハワイなど、オセアニアの島々においても、サメは漁の安全や航海を守護してくれる海の守り神として敬われています。

ニュージーランドのマオリの間では、特にホホジロザメ(ホオジロザメ)を、"mango-taniwha" (サメの怪神?)と呼んで、畏敬の念を持って扱ってきたそうです。

ハワイ諸島では、19世紀の初めごろまで“サメ崇拝”の習慣があり、島ごとに特定の種類のサメをあがめており、誤って他の島の神聖なサメを殺してしまう事で、しばしば島同士の戦争にまで発展していました。
また、“サメ人間戦士コンテスト”まであったそうです。
祭りの前になるとサメを囲いに閉じ込めて腹ペコにさせておいて、サメと人間が死ぬまで戦いました。
人間の戦士は、片側にサメの歯を付けた短い棍棒が唯一の武器として渡され、その決闘の方法は、とにかくサメに人間を襲わせ、人間はサメの歯を逃れ続けます。そして最後までサメの歯を逃れた戦士が、自らが持っていたサメの歯を使って相手のサメの腹を切り裂くことでのみ、決闘の勝者になることができました。 ハワイの伝説によるとこの決闘を多くの戦士が命を失い、生き残った戦士も何人かはいたようでう。

オセアニアの漁師たちは、「サメは彼らの祖先や海で死んだ兄弟や勇者の生まれかわり」であると信じて、祖先や兄弟・家族の霊が乗りうつったサメが豊漁をもたらし、海で起こる災厄から守ってくれると考えました。

タヒチ島ではサメを海の神として祭っています。 タヒチ島は元はサメであったという言い伝えもあるくらいです。 その信仰によれば、この鮫は神主命令に従い、船が転覆して人が海に落ちた時も神主だけは襲わず、それどころか神主を背中に乗せて何キロも泳いで助けると考えられています。このサメ神様は信者は食べないそうです。

ハワイのモロカイ島では毎年、サメが魚を沿岸まで追って来たのを見て、人に施しを与える神の魚と考えて、これをサメを神格化したのでしょう。海辺にサメを神として祀った祠を建て、毎年初物を取ってサメ神様に献上していました。

日本のエビス様は、クジラやサメにより魚が追い立てられることで大漁をもたらした事から来たとも言われており、今では鯛を抱えて釣り竿を持った人間で描かれていますが、古来はサメやクジラのイメージでした。伊勢国の磯部大明神は、今でも漁師に重く崇められています。そこではサメを神からの使者として厚く信じており。信者が海に溺れそうなときには、サメがやって来て、背中に背負って陸まで届けると言い伝えられています。
こちらの神社で神木の樟の皮をいただいて持って入れば、万が一サメに船が襲われそうになった時に海に中に投ずれば、サメはすぐに退散するといわれます。

サメがやってくる時には、信心深い漁夫の船に無数の鰹が集まり、それをとらえて金持ちになり、信仰の薄い人の船が近づくとたちまち群れは去っていきます。

日本の古文書の中には“サメ”が神と呼ばれたという記述はありませんが、一方で“ワニ”はしばしば出てきます。有名な『因幡の白ウサギ』をはじめ、『肥前国風土記』『出雲国風土記』などの古書にも海からやってくるワニが神格化されて扱われています。

もちろん日本にワニはいませんので、“ワニザメ”のようなサメを指していると考えるのが一般的です。

ただし日本近海にはあまりホホジロザメはいませんし、サメに関する姿形の描写からしても日本でのサメ崇拝はホホジロザメではなさそうです。

パレスチナの海辺のワニが羊襲うという話がありますが、これも実際にはサメであると考えられています。
水中に鋭い歯をもった凶暴な生き物が隠れており、水辺の動物が鋭い歯で体の一部を食いちぎられたり、水の中に引きずりこまれて食べられてしまう、というあたりはサメとワニのイメージはかなり近いかもしれません。

太平洋の国だけでなく、東インド諸島やアフリカの海に近い国では、サメをあがめる習慣を持っています。漁師が海に出る時には、サメなどの目に見えない海中に潜んでいる恐怖に対して様々な“まじない”を行って身の安全を願っていました。

海で生きるしかない人々にとって、サメとの遭遇は避けることができません。それでもサメに対する恐怖心を、なんとか克服してサメと共存するためには、単なる恐怖心から神聖なものに対する恐れとして昇華する方法を見出したのでしょう。

ホホジロザメ(ホオジロザメ)の寿命

最近まで、サメの年齢は背骨にできる木の年輪のような輪を数えることで推定し、ホオジロザメの寿命はおよそ20年程度と考えられていました。

ただ、この手法は動かない木のように周囲の環境が一年のサイクルどおりに変化する場合と異なり、常に移動している生物の場合には成長の速度とタイミングは必ずしも季節の変化に一致するわけではありません。
軟骨魚類のサメの場合はさらに厄介で、とりわけ年を取ると目に見えるはっきりとした形で年輪の輪が残るとは限らず、目視で数えるのとX線写真で数えるのとでは、まったく結果が変わってきたりします。

米ウッズホール海洋研究所などのチームがつい最近(2014年1月)米科学誌プロスワンに、「体の長さが5メートル近い雄が73歳まで生きた例があった」という新しい研究結果を発表し、話題になりました。

研究者たちはこれまでとは異なる手法として、体内に取り込まれた放射性炭素の量を測定することで、ホオジロザメの年齢を測定する方式を試してみたそうです。


これは化石の年代測定で行なうようなやり方の事ではなく、1950~1960年代に海上で行なわれた核実験で大気や海に放出された放射性炭素の量は正確なデータがあるため、ホオジロザメの体内に取り込まれた放射性炭素量とそれらのデータを比較することで、ホオジロザメの固体の年齢を測定するという方法です。

研究チームは、ホオジロザメの背骨のいろいろな場所からサンプルを採取して、生息環境に残っている放射性炭素の量を比べることで、正確な年齢の測定を試みました。

北西大西洋で1967年から2010年までに捕獲された雄雌4匹ずつのホオジロザメのサンプルを調べたところ、最も長生きした雄は73歳、雌は40歳という結果がでました。

検査したホオジロザメの数は少ないので、オスのほうが長生きだという結論にはなりませんし、これが平均的な寿命であるとも結論できません。
しかし、間違いなくこれよりもさらに長生きのホオジロザメが今も生きて泳いでいることは間違いないでしょう。

ホホジロザメの寿命は人間と変わらないのです。


ホホジロザメの保護

日本人にとっては、サメは漁の邪魔をする厄介もので、「サメを食べる」ために獲る・・・というイメージは一般的では無いと思います。サメを獲るのは、むしろ「サメ退治」というイメージが強いかと思います。
とは言え、広島の「ワニ料理」、伊勢地方の「タレ」、高知市などで「鉄干し」などのサメを使った料理は、貴重な保存食として古くから伝わってきていますし、中国では古来より“フカヒレ”は、高級食材として珍重されており、世界中でこの「儲かる」食材を中国に輸出するために乱獲が行われていました。

海外では、スポーツフィッシングの対象として好まれてきた歴史があり、とりわけホホジロザメ(ホオジロザメ)は、その巨大さから究極のシャークフィッシングの対象とみなされ、『JAWS』のあの悪者を、皆が競って狙ってきました。アングラーの家には、ハンターが壁に猛獣のはく製を飾るように、ホホジロザメ(ホオジロザメ)の巨大なアゴの骨が飾られ、大きなものでは数百万で取引されることもあったといいます。

オーストラリアやアメリカなどで行われるスポーツフィッシングでは、マコ・シャークやブル・シャーク、ハンマーヘッド・シャークなど、比較的個体数の多いサメは今でも人気のあるシャークフィッシィングの対象魚とされていますが、ホホジロザメ(ホオジロザメ)は対象から外されています。

ホホジロザメの正確な生息数は分かりませんが、ホホジロザメ(ホオジロザメ)は、海洋食物連鎖の頂点となる生物であるだけに、もともとの個体数も決して多くはなく、繁殖能力も高くはありません。
ホホジロザメ(ホオジロザメ)の寿命は60年程度と言われ、繁殖できる年齢になるのに12~15年かかるといいます。また、ホホジロザメ(ホオジロザメ)は卵胎生です。多くの魚のように数万という卵を産むのではなく、卵を腹のなかで育てて、大人と変わらないほどの大きさまで成長した状態で出産します。妊娠期間は不明ですが、ほとんどのサメが1年以上ですので同じぐらいはかかるでしょう。子供は母親のおなかの中で、未受精卵など自分の兄弟たちを食べて育ち、最も強い個体数匹だけが厳しい海の生存競争を生き残れる、1.2~1.5メートルにまで立派に成長した捕食者として生まれてきます。


フカヒレ漁等の乱獲、海洋汚染、害獣としての駆除、スポーツフィッシィングなど様々な影響を受けてホホジロザメ(ホオジロザメ)の生息数は激減しています。
現在、オーストラリア、南アフリカ、カリフォルニア州、マルタによって保護種に指定されており、IUCN(国際自然保護連合)は、ホホジロザメをレッドリストの中で絶滅危惧Ⅱ類に指定しています。
つい先日(2013年2月)も、南アフリカで保護対象であるホホジロザメ(ホオジロザメ)を釣り上げて殺してしまった男性に罰金8,500ポンド(約128万円)の有罪判決が出たというニュースがありました。
現在は世界的に、保護に向けての運動が進んでいます。

今年(2013年5月)にも、フカヒレ目当ての乱獲で減少が著しいシュモクザメなどのサメを国際的な取引規制の対象とするワシントン条約締約国会議での新たな決定が行われ、日本政府は“シュモクザメの仲間3種とヨゴレとニシネズミザメ”に関しては規制の受け入れを拒否する「留保」の申し立てをしましたが、投票国の3分の2以上が賛成しています。

世界的なサメ保護の動きのなかで、日本でもやがて輸出入が禁止されるようになるかもしれません。



ホホジロザメ(ホオジロザメ)を生で見たことがある人は少ないでしょう。
巨大であるのももちろんですが、回遊性があり水槽内の他の魚を捕食してしまうなど飼育が難しいために、これほど有名で人気があるにも関わらず、水族館なのでも見かけることがありません。
アメリカのモントレー水族館で、若い雌のホホジロザメ(ホオジロザメ)を198日間飼育したという記録がありますが、成長に従って水槽内の他の魚への危険が増したために飼育を断念して海に帰したそうです。



ホホジロザメ(ホオジロザメ)の歯は3列準備されており数日おきに古い歯は抜け落ちますので、サメを傷つけたり殺したりしなくても、貴重な歯を手に入れることはできます。 ご安心ください。


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